お久しぶりになってしまいました。
弁護士の小峰です。

皆さんはコーラや甘いジュースなどは好きですか?

先日こんなニュースがありました。

アメリカニューヨーク州の裁判所が
「レストランや映画館で約470ミリリットルより大きいカップやペットボトルの販売を禁止し、違反者には200ドルの罰金を科す」
という規制は無効と判断。

いかにもアメリカらしい規制ですね。

もし同様な規制を日本で行ったら憲法違反として争われるかもしれません。

憲法では基本的人権というものが認められています。
基本的人権の中心は「自由」です。表現の自由、職業選択の自由などですね。
この種の規制だと、 
1 企業が飲み物を販売する自由を侵害する
2 消費者が飲み物を選択する自由を侵害する
といった形で主張がされるものと思われます。

ところで、規制が憲法に違反するかどうかはどのように判断するのでしょう。

おおざっぱに言ってしまえば
・得られる利益と失われる利益のバランスが取れているか
・目的を達成するための手段として厳しすぎるものになってないか
という基準で判断します。
細かいことを言えば様々な基準があり、厳しい基準から緩い基準まであるのですが、
大きくまとめてしまえばこのような基準なのです。


さて、ではこの飲物販売規制はどうでしょう。
得られる利益と失われる利益のバランスが取れているでしょうか。
また、目的達成のための手段として厳しすぎるものになっていないでしょうか。

まず、それぞれの利益は
得られる利益・・・市民の健康
失われる利益・・・企業が自由に営業できる利益 消費者が自由に飲み物を選択する利益

となりそうです。


さて、ここで一つ大きな問題があります。
鋭い方は気づいているでしょう。

「おかわり」ってどうなるの?

約470ミリリットル以上の飲み物を販売しなければいいのであって、
小さいのを2つ販売することは禁じられていないのです。
2杯目以降は安く提供!とかもできるわけですね。
(実質的に470ミリリットル以上のカップで販売しているのと同じと判断される可能性はありますが)
また、同じ人がだめなら一緒にいる人に買ってもらうという抜け道もありそうです。

このような抜け道を使えば、規制がされてもたくさん飲めてしまいますね。

つまり、この規制は目的達成のためには役に立たないということです。
そのため、この規制は実は「得られる利益」がないということになってしまいます。
したがって、当然バランスは取れていないですし、
目的が達成できないのだから目的達成のための手段とはいえないことになります。

このように考えていくと、日本でも憲法に違反するとして無効になると思われます。
ニューヨーク州の裁判所でもこのような抜け道があることを無効理由の1つとしているようですね。



最近はニュースで憲法が取り上げられることも多いですが、
選挙関係か自衛隊関係という日常生活とは遠い部分ばかりです。
でも実はもっと日常生活に近い憲法の話もあるんです。

条例や法律の制定の際は憲法的な議論が出てくることが結構あります。
某県の分煙条例などは某法科大学院の憲法の入試問題にもなったくらいです。

このような視点で議論されている法律や条例を
憲法的に問題ないか考えてみるのもなかなか面白いですよ。


小峰